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2010. 11. 23  
「長距離を走らせて下さい」

うん?

「ただ走らせるだけではなく行軍用の軍装で。
 初めは10kmぐらいがいいですね。
 慣れてきたら、20、30と距離を増やして
 最終的な目安はまあ、50kmくらいまで可能なようにして下さい」

行軍用といってるのは、
プロンテラ軍兵士のフル装備と言うことだろう。

主武器の槍(場合によっては弓)。
副武器の片手剣。
防具としてチェインメイル。
そして糧食を初め、様々な道具を詰めた背嚢。

部隊によっては盾を携行する場合もある。
私たちの隊には現状支給されてはいないが。

ともあれ、総重量は40Kgは下らない。

冒険者の場合もたいして変わらないが、
私のような自由騎士はペコペコに騎乗したり、
職業によっては武装の簡素化でもっと重量は軽く済ませている。
また熟練した冒険者は慣れによってあまり重量を感じなくなる。

しかし私の部隊はと言うと、最年少は14、最年長で17で
体力的なバラツキが激しいし、
ましてや農夫から兵士に変わってから日も浅く、
基礎的な訓練も受けていないような状態だ。

そんな彼らに出来るのだろうか…

「だからやらせるんですよ」

笑いながらフォレフが言う。
悪魔が微笑んでいるようにすら見えてきた。くそ!

「兵士の経験がない彼らなら、なおさらなんですよ。
 全員が農夫出身と言うことなら、ある程度体力もあるはずです。
 戦闘訓練よりもまずは基礎体力の向上が必要ですし、
 その中で走る事と言うのは、オレは特に重要だと思います」

ほう。
ただ単に無茶を押し付けているわけではないと言うことか。

私はもう少し話を聞いて見ることにした。
2010. 11. 22  
フォレフは言葉を続けた。

「色々お手伝いはしますけどね。
 隊長はトウコさんなわけですから、
 オレがあんまりでしゃばるのは良くないんですよ」

ふむ。

「トウコさんの隊は隊長である貴女が指揮で動くんです
 隊長の命令で動くのが軍隊ですけど、部下は隊長を見てます。
 信用できない隊長の下で働くのは誰だって嫌だ」

なるほど。

「『船頭多くして船山登る』というじゃないですか
 オレが指導すれば、連中はオレの命令を聞き、
 貴女の命令は聞かない。
 それじゃあ困るでしょ?」

全く持ってその通りだ。

「理解した。
 お前はそこに苦労したと言う意味でもあるんだな?」

目の前の青年は照れたような苦笑いを浮かべる。
それは肯定の意味だろう。

「ではまず、戦闘力のない彼らにやらせて欲しいことがあるんです」

「何だそれは?」

真剣な眼差しで言うフォレフに、私は聞き返す。
まず何をすればいいと言うのだろうか。
2010. 11. 18  
馬鹿な頼みを引き受けてくれた大馬鹿は
フォレフという聖堂騎士だ。

私の遠い親類にあたる魔術師、ティーフのツレである。

まあフォレフが傭兵中隊の隊長と言う事を考えると
ティーフの方がツレなんだろうが。

私はまあ自由騎士として長い冒険者家業をしてきたせいもあって
それなりに戦闘能力はあると思う。

だがこのフォレフ、
私よりひとまわりほど年下のはずだが、段違いの戦闘能力の持ち主だ。
昔プロンテラであったとある事件で勇名を馳せた。
もっとも世間的には名前が出なかったので、
その行動だけが知れ渡っただけなのだが。

私は知っているが故に、彼との実力の差を思い知らされているわけだ。

昨年の冬にゲフェンがオークの北上を叩くために
三千人規模の兵力を動員した大規模なオーク討伐を行ったが、
その際に指揮を取った人物は在野の聖堂騎士だという。
どういう経緯で指揮官に就いたのかはしらないが。

その指揮官の名がフォレフという。
目の前の青年と同名である。

よもやゲフェンで三千の将兵の指揮を取った人物と
前線の砦でたかだか二百の傭兵の隊長をやっている人物が
同一人物であるはずはない。

しかし私は彼がゲフェンの指揮官だと確信している。
傭兵隊に身をやつしているのは説明できないけど…

それを差し引いたとしても、
二百名からなる傭兵中隊を率いる指揮官としての先達でもあるので
協力してもらえるのは心強い。

フォレフが口を開く。
「一応協力はするけど」

ん?なんだ?

「実践は全部トウコさんがやって下さいね」

……。

え?
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