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2009. 10. 07  
「何だ?」
「どうやら外の連中か、入り口にいた連中か、どっちかが発見されたみたいだな。鳴ってるのは早鐘みたいなもんだ」
「へえ。古代文明ってのは便利なんだな」
「和んでないで…どうするの? こっちに来てるみたいだけど」
 シィルビアは遥か後方より多人数が駆け寄ってくる足音を察知したらしい。
「よりによってこっち来るか…とりあえず、逃げるぞ!」
「どこへ?」
「そんなん知るか!」
 三人は言うや否や駆け出した。

 通路に照明が灯ったことで、見通しやすくなったことは幸いだが、それは追っ手であるほうにしても同じことだ。
「いたぞ! 侵入者だ!」
 三人の前に通路の脇道から武装した男たちの小集団が現れて行く手を塞ぐ。
 しかしフォレフは減速しないままに彼らの懐に飛び込むと、すれ違いざまに連続して強打を叩き込み、集団を一瞬で無力化した。崩れ落ちる男たちの横目にティーフとシィルビアが続く。
「えらく人員を投入してるな」
「走ってる間にしゃべると息が上がるぞ」
「んなもん、もう上がってる…」
 その言葉に足を止めて振り返ると、少し遅れたところでぜえぜえと肩で息をするティーフの姿があった。シィルビアが肩を貸すようにして立ってはいるものの、完全にグロッキー状態だ。
 息ひとつ切らせていないフォレフは額に手を当てた。
「もう少し身体鍛えてくれ」
「…努力はする」
 喘ぎながらティーフが答えた。
 とはいえ、侵入を察知され、逃走を始めてより既に二十分近い。追っ手を惑わすため、道筋を記憶しながらも通路を右へ左へと相当な距離を走った。
 重装甲の鎧を着て動き回るために鍛えられたフォレフと、もともと山野を駆け巡ることに長けたシィルビアに比べ、魔術師であるティーフがスタミナを切らせてしまうのは仕方がないのかもしれない。
「どうするの? 後ろの方からも来てるよ」
 どういうわけか、追っ手はこちらの場所を知っているかのように追跡の手を緩めない。
 ふと見回すと、すぐ右後ろに扉と思しきものがあった。
「…そこの扉の中に入ってやり過ごそう」
 フォレフはシィルビアからティーフの身体を受け取って扉の前に立つ。
「…この扉、どうやって開けるんだ?」
 壁には扉と思しき、人一人分が通れるほど大きさで切れ込みがあるものの、肝心の扉部分はのっぺりとしていて、開けるためのノブどころか指をかける場所すらない。
 扉の脇には何やら手のひらサイズのタイルのようなものが壁から少しばかり盛り上がるようにあるが、特に何かが設えられている訳ではない。
「ボタン式ロックの自動扉に近い感じだけど…」
 フォレフはとある遺跡でドワーフが作った機械式扉に遭遇したことがある。ボタン式ロックがされたそれは、扉ごとに異なる暗号が決められていて、暗号の通りにボタンを押すと扉を開けられるが、数回の猶予内に暗号どおりに押さないと、トラップが起動すると言う厄介なものだった。ジュピロス文明の遺跡にも似たような扉があると言われている。
「でも、ボタンないね」
「だなあ…」
 二人には、何が扉を開ける鍵となるのか皆目見当もつかない。
「他を探そうにもな…」
 追っ手がそこまで迫っている状態で、ティーフを抱えつつ逃げることなど出来はしない。
 するとティーフが懐から一枚のカード状の物を取り出して、フォレフに渡した。
「こいつを、そこにかざして見てくれ。もしかしたら使えるかもしれない」
 そうして、扉脇のタイルのような部分を指差す。
「これは?」
「ジュピロス文明で鍵として使われてたもんだ。ここでも使えるかどうかわからないけどな」
 何でそんなものをと、フォレフは半信半疑で受け取ったカードをタイル部分にかざした。
途端にピーッと甲高い音が鳴り響く。
「だいじょぶか? これ」
 と、シューと空気が抜けるような音とともに扉が横にスライドして開いた。
「…開いた」
「と、とにかく入ろ!」
 二人はティーフの身体を引きずるようにしながら扉の中へと入る。するとしばらくしたのちに扉は閉まり、元のように壁の一部となった。
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