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2015. 02. 22  
7-1

前衛艦隊の得た情報が零式水上偵察機によって鎮守府に届けられた。

鎮守府の会議室には戦艦、空母のほか各艦種からの代表者が集まっていた。

「深海棲艦隊は前衛艦隊の攻撃を受け、わずかな追撃部隊を切り離した後、本隊は依然として本土へと航行中です」

大淀が状況を説明する。
深海棲艦の狙いは本土強襲にあると会議室に集まったメンバーは断定した。

「なんで本土を狙うのかしらね」

ふと陸奥がひとり呟く。

深海棲艦には謎に包まれた部分が多く、その行動原理は解明されていない。
人間のような知能を有しているのか疑問を呈する者もいるが、実際に砲火を交える艦娘は知能があることに疑いはない。
戦闘における用兵は言わずもがな、戦略的な行動を行うことは深海棲艦が高度な知能を有している証拠に他ならない。
ゆえに思うのだ。この本土を狙った強襲艦隊は何の意図を持っているのかと。

「真意はわかりませんけど……」

吹雪が前置きをして口を開いた。

「これまで深海棲艦によって海上交通網が破壊されてきました。私たちの反攻作戦で徐々に取り戻してきてはいますが、依然として海上輸送の脅威と認識されています。しかしこれまでは比較的陸上は安全でした。網の目のように張り巡らされた鉄道網や幹線道路によって物流の流れは停滞していません」

「なるほどな……」

長門がひとり、吹雪の言葉にうんうんと頷く。

「市民への心理的な揺さぶりが目的だと、吹雪は言いたいのだな」

「そうです」

「どういうことなの?」と陸奥。

「ドーリットル空襲さ」

ドーリットル空襲は先の大戦のミッドウェー作戦前夜に行われた米陸軍機による本土空襲のことだ。日本初の本土攻撃に陸海軍はもとより国民に大きな動揺を与え、それがミッドウェー作戦・アリューシャン作戦を急ぐ原因になったとも言われている。

「本土被害への動揺もあるが、もっとも懸念されるのは物流網が破壊されることだな。あの当時と違い物流網が発達した現在は、戦時にもかかわらず一般市民は多少の息苦しさはあるものの、平時同様の暮らしを送ることが出来ている。だが深海棲艦が本土を攻撃が現実となれば、インフラの復旧にも時間はかかるし、今後の物流は命がけとなって要員確保も難しくなる。途端に経済と物流が停滞することになるだろう」

「そうなってくると、私たちへの期待と風当たりも強くなるでしょうね」

大淀がため息をつく。

「軍令部は借金返済を迫るかのように、安全の督促を始めてくるだろう。焦燥は失策を生み、誰かが命を落とすことになるかもしれない」

「でもよぉ。ただの揺さぶりにしちゃあ、戦艦棲姫だなんだって連れてるのは物騒じゃねえか?」

天龍が上げた疑問の声に長門が顔をしかめる。
確かに深海棲艦艦隊は大艦隊と言える規模と、鬼や姫と称される大型艦が含まれており、敵艦隊の目的が心理的動揺を誘う程度のものというのはおかしいのかも知れない。

「いえ。深海棲艦も知ってるんだと思うんです。私たちが全力で阻止に当たることを」

吹雪の言葉に今度は天竜が顔をしかめた。

「強力な敵艦には、こちらも強力な艦を当てるしかありません。戦艦の皆さんの力をもってすれば、大型深海棲艦の足止めはできると思います。ですがそのことで、その他の中小の深海棲艦を撃破するための戦力が不足することが予想できます」

前衛艦隊とは通信が途絶しており、戦果も被害も正確にはわかっていない。
零式水上偵察機が持ち帰った情報からわかるのは、敵艦隊は依然として130隻程度の勢力を保っていることだ。

鎮守府に残る艦娘もそれに同等数いるものの、それは練度が低い艦娘も含めての数だ。
艦隊行動は此処の艦娘の能力だけではなく連携力がものをいうので、駆逐艦などは旧海軍の駆逐隊の編成のまま組ませたり、同型艦同士で組ませて練度を上げることが多い。
練度の低い艦娘を戦場に出せば、その連携力が失われてしまい、艦隊としての体を成さなくなる。

「出撃できるのは連絡役の私、そして工廠の明石さん、資材運搬を進めている睦月型の駆逐艦や練度の低い艦娘を除いた94隻です」

「こちらのほうがやや少ないか…」

長門は腕を組みながら小さく唸る。
数の上ではやや少ないで済むが、艦種を考慮すると駆逐艦が大半を占めるこちらに比べて、軽巡以上の艦種からなる深海棲艦のほうが戦力は高い。

長門自身は大型深海棲艦とやりあっても引けを足らない自負はある。
同型艦の陸奥、超々弩級の大和も同様だろう。

だが比叡、伊勢、日向は、単体での大型深海棲艦との戦いはやや厳しいものとなる。
火力の面でどうしても引けを取るのは否めないのだ。

艦娘となったことで艦艇であった頃には積めなかった46cm三連装砲を1基ずつ搭載しているものの、鎮守府には今以上の46cm砲はなく、火力の上積みを図ることも難しい。

だが、吹雪は会議場のメンバーを見回すと、決意に満ちた瞳で言う。

「私は艦隊決戦を仕掛ける他は無いと考えます」

「駆逐クラスでも、本土に到達できさえすれば奴らの勝ちってことだろ? 正面からの撃ち合いに相手はノッてくれないんじゃねえか?」

天龍が腕を組みながら視線を送ってくる。

「ええ。全艦を決戦に向けてしまった場合、決戦を迂回して本土に迫ろうとする敵艦隊を抑えきれないでしょう。ですから私たちは」

吹雪は広げられた海図の上に4つの駒を置く。

「敵艦隊を包み込むように殲滅します」
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