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2007. 03. 08  
私の任された部隊を構成するのは30名ほどの少年少女だった。

下は14歳から、上は17歳。

唯一17歳の少年にしても誕生日を迎えて1月ほどらしいので、
実質14~16歳あたりとなる。

騎士見習として騎士団に入団する年齢が15歳あたり。
数年の見習期間を経て従士へ昇級し、従士から正騎士へと至る。

ちなみに有事の際に戦闘に参加するのは従士以上。
基本的に騎士見習は戦闘訓練は積んではいるものの、
後方支援などの雑務に回されるのが常だ。

従士になっても必ず戦列に並ぶわけではなく、
あくまで予備戦力として考えられているため、
戦闘に参加する機会は多いわけではない。

騎士見習として入団した人間が、正騎士として叙任されるまでには
最短で4年というので、従士上がりの正騎士は若くても20代前半。

10代の正騎士なんてほぼ有り得ない。
同様に10代半ばの兵士なんて有り得ない。

私が騎士団本部で会ったエリーゼ嬢はたしか19歳とのことだが、
あれは彼女が冒険者出身であることがまず一点。

実績を請われる冒険者上がりの正騎士は、
そういう事もあるのではなるが、
彼女もその中でもまた例外中の例外。

王家の連なる有力貴族の令嬢であることも
その地位に影響がないなんぞ誰が信じるもんか。

まあ個人的には貴族っぽくなくて良いヤツだとは思うんだけどね。

ともかく。
10代半ばの少年少女が、何でプロンテラ軍の正規兵として存在するだろうか。
彼らの補佐役としては3名のベテラン兵士が配属されていたのが唯一の救いである。

ベテラン兵士の3名は、ランドルフ、ウォルター、ハンナという。
ちなみにハンナのみ女性だ。

私が着任するまで臨時で隊長を勤めていたランドルフに聞いた話によると、
彼ら彼女らは皆、難民なのだという。
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2007. 03. 02  
夜。
リーネベルク砦の夜は予想以上に喧噪に満ちていた。

砦に詰めている人員の半分が義勇軍兵(つまり冒険者)ということもあるのだろうが、それにしても軍事施設とは思えない開放的な雰囲気があった。

小隊詰め所を出た私はそんな喧騒をあとにしつつ一軒の建物に入った。

扉を開けるとアルコールとタバコの紫煙の香りがムッと私を包み込む。
店内にはバラード調の曲がBGMのように流れ、外の喧噪とは段違いのしっとりとした雰囲気がそこにあった。

ここは砦内の義勇軍兵を相手にした酒場だ。

アルベルタの商人組合から特別な許可を得た一部の商人は、こうして常設の店舗を構えることを許されていた。

そうすることで、こんな辺境の砦の守備につく連中に娯楽を提供しているのだ。
昼間見た売春宿の類もそうした娯楽の一環である。

プロンテラ軍という組織の幹部は案外融通がきくのかもしれない。

まあ、私のような飛込みで行った人間に、軍務関係の仕事をポンと与えてしまうくらいだ。当然といえば当然か。

私は一応、この砦においては正騎士待遇というのを受けられるらしい。
それがどのような意味をもつかといえば、冒険者たちが集うここのような酒場ではなく、正騎士のみが入ることが許された酒場というやつにも入ることができる。

そのほか輜重隊を通じて運ばれてくる物資を、通常の兵士よりも優先的に受取ることができるとか何とか。

まあでも。正騎士専用の酒場とやらは、良い酒を揃えていたりするのだろうが、ちょっと敷居が高いな。
ここ程度の酒場の方が私程度にはちょうど良い。

ここのような酒場は他に数件あるのだが、私がここに来たのは理由がある。
昼間に会ったティーフやフォレフらが夜はここにいると教えてくれていたのだ。
やはり見知らぬところにひとりで行くより、多少は見知った顔があるほうが安心できる。

……私って小市民だなあ。

ちなみにミオは招待詰め所に残るというので一緒ではない。

さて、彼らはどこにいるのかなと見回すと、ティーフはすぐに見つかった。
酒場の壁際に設えられたステージでひとりリュートを掻き鳴らしていた。
先ほどから耳に入るバラードはこいつがやってたらしい。

魔術師なのに、なにしてんだあいつは。

しかもステージの隅では本職のバードが居心地悪そうに控えていた。
空気が読めないのか空気を読む気がないのか。
おそらくは後者なのだろうけど、店内にいる冒険者たちはさほど気にしてもいないようで、旋律に身を預けるようにしながら酒杯を傾けていた。

まあいっか。

ふと気がつけばカウンターの隅の席から手招きしているフォレフが目に止まった。
私はそちらの方に足を向けカウンター内にいたバーテンにエールを注文した。

「お疲れさんです」

エール入った木のジョッキを片手にフォレフが声をかけてくる。
ちょっと愛想のない感じのする彼だが、酒が入ると気分が開放的になるのか、少年のような無邪気の笑みが浮かんでいた。
しかし今の私としてはその笑みさえ癪に障る。

「ホントにね。知っていたんだろ?あの部隊のこと」

フォレフは笑みを消すようにして頷いた。

「ここじゃ有名ですからね。彼ら」

それもそうだろう。
軍隊というものに正式に所属すること自体初めてではあるが、あんな部隊が存在するなんて思いもしなかった。
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