2011. 12. 27  
オーク vs プロンテラ軍

オーク族の勢力拡大に苦慮する
ルーンミッドガルド王国府は
正規軍を動員したオーク討伐を決定。

プロンテラ騎士団、聖堂騎士団が
主導権を巡って対立する中、
姫騎士と呼ばれたひとりの騎士が
自らの部隊を率いて
オークの軍勢に立ち向かう。

オーク戦記

コミックマーケット81(2011冬コミ)
12月29日(1日目) 東ホールC-29a
「Acnos」にて頒布予定。

今回はさわりとなる部分を楽しんで貰うために
本編に繋がる物語を用意いたしました。

『Web版』

『携帯版』

5年前の私はペンネームがまだ
ティーフのヒトとの共同で
綾瀬涼矢だった…
今は観月刀琥になってますが。
2009. 10. 08  
「侵入者が研究区画に逃げ込んだだと?」
 三十代後半の鎧姿の男が、部下の報告に眉を顰めた。
 ここは遺跡内部の一室。かつては戦闘指揮所として使用されていたと推測されている場所だった。
 指揮所には遺跡内部の全容を示すマップがジュピロス文明の遺産によって腰あたりに投影されている。
 ところどころに黄色の光点が点在している中、男の視線はその中でひとつだけ離れたところにある光点に向けられていた。
 先ほどまでは侵入者を示す赤い光点として浮かび上がっていたが、どういうわけか彼らは、研究区画に正規の方法で入室したため、侵入者として表示できなくなっていた。
「研究区画は鍵がなければ入れないはずだが…奪われたのか?」
「は。いいえ。鍵を所持している者を全員確認しましたが、奪われた者は居りません」
「となると、奴らも鍵を持っていたということか」
「は。小官もそのように考えます」
 この遺跡に乗り込んできた正体不明の侵入者たちが都合よく鍵を持っていたなど信じ難いことだと男は思うが、今の自分の配下にいる者たちはある目的のために自ら志願してきた者たちだ。
 便宜上として自分が指揮を執ってはいるが、彼らを同志だと考えている。その報告に虚偽の報告があるほうがなお信じ難い。
 しかしそのようなことは詮無きことだ。今は何よりも優先させねばならないことがある。
「動かせる人員を研究区画に集結させろ。アレの確保を最優先目標とする。
 アレを侵入者の手に奪われることは、何としても避けろ。
 私も追って出る」
「ヤーヴォール!」
 部下は敬礼と共に返答した。

 室内に入った三人の冒険者たちはティーフの持つ杖に燈された、魔法の灯りを頼りに部屋の奥へと進んだ。追っ手はやり過すことが出来たのか、それともここへと入る鍵を持っていないだけなのかは不明だが、部屋に入ってくる気配などは感じられない。
 部屋は用途の判らぬ機材がそこかしこに配置されていて、どれもこれもが沈黙していたが、唯一部屋の一番奥にある機械の周辺だけ、僅かながらの照明に照らされて、闇の中で一際浮かび上がっている。三人は興味を惹かれてそちらへと向かう。
 近づくと斜めに傾いて設置された棺桶くらいの箱型の機械だということが分かった。その周囲では緑色の小さな光が明滅し、それに合わせるように、定期的にピッピッと奇妙な音が鳴り響く。
「何か書いてあるね」
 棺桶の表面には文字と数字らしきものが刻まれているが、恐らくは古代文字なのだろう。生憎とシィルビアとフォレフには、それがなんと書かれているのか解らない。数字だけは現在も使用されているものと大して変化がないので『07』とだけわかった。
「……ユミル…だと?」
 呆然とした声でティーフが呟いた。

(未完)
2009. 10. 07  
「何だ?」
「どうやら外の連中か、入り口にいた連中か、どっちかが発見されたみたいだな。鳴ってるのは早鐘みたいなもんだ」
「へえ。古代文明ってのは便利なんだな」
「和んでないで…どうするの? こっちに来てるみたいだけど」
 シィルビアは遥か後方より多人数が駆け寄ってくる足音を察知したらしい。
「よりによってこっち来るか…とりあえず、逃げるぞ!」
「どこへ?」
「そんなん知るか!」
 三人は言うや否や駆け出した。

 通路に照明が灯ったことで、見通しやすくなったことは幸いだが、それは追っ手であるほうにしても同じことだ。
「いたぞ! 侵入者だ!」
 三人の前に通路の脇道から武装した男たちの小集団が現れて行く手を塞ぐ。
 しかしフォレフは減速しないままに彼らの懐に飛び込むと、すれ違いざまに連続して強打を叩き込み、集団を一瞬で無力化した。崩れ落ちる男たちの横目にティーフとシィルビアが続く。
「えらく人員を投入してるな」
「走ってる間にしゃべると息が上がるぞ」
「んなもん、もう上がってる…」
 その言葉に足を止めて振り返ると、少し遅れたところでぜえぜえと肩で息をするティーフの姿があった。シィルビアが肩を貸すようにして立ってはいるものの、完全にグロッキー状態だ。
 息ひとつ切らせていないフォレフは額に手を当てた。
「もう少し身体鍛えてくれ」
「…努力はする」
 喘ぎながらティーフが答えた。
 とはいえ、侵入を察知され、逃走を始めてより既に二十分近い。追っ手を惑わすため、道筋を記憶しながらも通路を右へ左へと相当な距離を走った。
 重装甲の鎧を着て動き回るために鍛えられたフォレフと、もともと山野を駆け巡ることに長けたシィルビアに比べ、魔術師であるティーフがスタミナを切らせてしまうのは仕方がないのかもしれない。
「どうするの? 後ろの方からも来てるよ」
 どういうわけか、追っ手はこちらの場所を知っているかのように追跡の手を緩めない。
 ふと見回すと、すぐ右後ろに扉と思しきものがあった。
「…そこの扉の中に入ってやり過ごそう」
 フォレフはシィルビアからティーフの身体を受け取って扉の前に立つ。
「…この扉、どうやって開けるんだ?」
 壁には扉と思しき、人一人分が通れるほど大きさで切れ込みがあるものの、肝心の扉部分はのっぺりとしていて、開けるためのノブどころか指をかける場所すらない。
 扉の脇には何やら手のひらサイズのタイルのようなものが壁から少しばかり盛り上がるようにあるが、特に何かが設えられている訳ではない。
「ボタン式ロックの自動扉に近い感じだけど…」
 フォレフはとある遺跡でドワーフが作った機械式扉に遭遇したことがある。ボタン式ロックがされたそれは、扉ごとに異なる暗号が決められていて、暗号の通りにボタンを押すと扉を開けられるが、数回の猶予内に暗号どおりに押さないと、トラップが起動すると言う厄介なものだった。ジュピロス文明の遺跡にも似たような扉があると言われている。
「でも、ボタンないね」
「だなあ…」
 二人には、何が扉を開ける鍵となるのか皆目見当もつかない。
「他を探そうにもな…」
 追っ手がそこまで迫っている状態で、ティーフを抱えつつ逃げることなど出来はしない。
 するとティーフが懐から一枚のカード状の物を取り出して、フォレフに渡した。
「こいつを、そこにかざして見てくれ。もしかしたら使えるかもしれない」
 そうして、扉脇のタイルのような部分を指差す。
「これは?」
「ジュピロス文明で鍵として使われてたもんだ。ここでも使えるかどうかわからないけどな」
 何でそんなものをと、フォレフは半信半疑で受け取ったカードをタイル部分にかざした。
途端にピーッと甲高い音が鳴り響く。
「だいじょぶか? これ」
 と、シューと空気が抜けるような音とともに扉が横にスライドして開いた。
「…開いた」
「と、とにかく入ろ!」
 二人はティーフの身体を引きずるようにしながら扉の中へと入る。するとしばらくしたのちに扉は閉まり、元のように壁の一部となった。
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